近年、「オープンマリッジ」という言葉を耳にする機会が増えました。
夫婦がお互いに合意のうえで、外の恋愛や関係を認め合うという新しい形。
「自由」「多様性」といった言葉で語られることもありますが、誰もがすんなり受け入れられるわけではありません。
実際にパートナーから提案されたときに、強い嫌悪感や不安を抱く人も少なくないのです。
今回ご紹介するのは、外資系IT企業で働くバリキャリ女性・Mさん(34歳)の体験談です。
旦那さんから突然オープンマリッジを提案され、「気持ち悪い」「受け入れられない」と感じた彼女のリアルな心境を追っていきます。
出会いと結婚 ― 社交的だけど仕事に一途だった私

ギャップでモテてきた学生時代
私は普段はサバサバした綺麗系美人と言われることが多いです。ずばりという性格でもあるの、少し近寄りがたい印象を持たれることもありました。
けれど意外にもお酒や飲み会が好きで、いざお酒が入ると一気にノリが良くなり、明るく笑って場を盛り上げるタイプ。
そのギャップが男性にとって新鮮で、大学時代から常に人気者でした。
ただし、恋愛では遊び続けることはなく、一度付き合えば相手に一途でした。
外見の良さや派手さよりも、安心して長く寄り添える人を求めていました。
合コンでの出会い

そんな私が元旦那と出会ったのは、友人に誘われて参加した合コンという名の飲み会でした。
旦那は日系大手不動産に勤める社会人。派手さはないけれど可愛らしい雰囲気があり、普段は穏やかで控えめ。
それでいて、気に入った相手には真っ直ぐにアタックする積極的な一面を持っており、恋愛経験も豊富で、実はモテるタイプでした。
私は彼と話すうちに、遊び慣れした一面だけでなく誠実さも感じ取りました。
「私が求めていた“一途さに応えてくれる相手”かもしれない」
そう直感したのです。
安心感から始まった恋と結婚
私たちはすぐに交際へと発展しました。
私にとって旦那さんは、社交的な顔を持ちながらも、恋愛では誠実に向き合ってくれる存在。まさに私にぴったりでした。
外資系IT企業という厳しい環境で働いていたので、旦那さんの穏やかさと安心感は大きな支えに。
やがて28歳で結婚を決意しました。
「仕事も家庭も両立させたい。旦那とならそれができる」――そう信じて、私たちは夫婦生活をスタートさせたのです。
結婚6年目に訪れた変化
そんな感じで幸せな結婚生活へ突入した私たちですが、早くも変化を迎えることになりました。
子どもを望んでも叶わなかった日々
結婚当初から「子どもが欲しいね」と話していた二人。
病院に相談したこともありましたが、なかなか授かることができませんでした。
「そのうち自然にできるだろう」と思いながらも、時間ばかりが過ぎ、夫婦は次第に口にすることも減っていきました。
頭では前向きに「二人の生活を楽しもう」と思おうとしても、心のどこかに空白が残ったままでした。
日常のマンネリ化
私たちは夫婦仲が悪いわけではありません。
平日は「今日は遅くなる」「お疲れさま」などの会話を交わし、休日も一緒に出かけることはありました。
けれど、かつての新鮮なドキドキ感は消え、会話の多くは生活の連絡に近いもの。
休日もテレビやスマホを見ながら過ごすことが増え、刺激やときめきは薄れていきました。
レスという現実
そして決定的だったのが、夫婦関係のレス化でした。
結婚から数年が経つ頃には夜の回数が目に見えて減り、やがて半年以上もない時期が訪れました。
「私から求めても、旦那は『疲れてる』『気分じゃない』と断ることが多くて……。そのたびに“女として拒絶されている”気がして、心が小さくなっていきました」
妻として大切にされていることは分かっていても、女性として求められない現実はMさんの心に大きな影を落としました。
増えていく旦那の飲み会
そんな頃から、旦那の飲み会や夜の予定が増えていきました。
「仕事の付き合いだから」と言われれば納得するしかありませんでしたが、帰宅は遅く、週に何度も外出することも。
わつぃは「もしかして他に誰かいるのでは」とまでは疑わなかったものの、自分だけが取り残されているような寂しさを強く感じるようになったのです。
突然のオープンマリッジ提案

そんなもやもやした日々が続いていく中、ある日突然の提案をされることになりました。
浮気を疑いながらも、見ないふりをしていた
旦那の飲み会や夜の外出が増えた頃から、私も「きっと浮気しているんだろう」と勘づいていました。
けれど、あえて追及はしませんでした。
「本当に浮気していると分かったら、この生活が壊れてしまう」
「知らないふりをしている方が、まだ夫婦でいられる」
そう自分に言い聞かせ、恐怖から目を逸らしていたのです。
子どもを諦めかけた旦那の提案
そんなある夜。夕食後にリビングでくつろいでいたとき、旦那さんが真剣な表情で切り出しました。
「最近さ、“オープンマリッジ”っていう考え方があるの知ってる?」
続けて、旦那はこう言いました。
「俺たち、結婚して6年になるけど……子どもは多分、もう授かれないのかもしれない。だったら、夫婦の形も新しく考えてみてもいいんじゃないかって思ったんだ。お互いに自由でいられるようにさ」
胸に走った嫌悪感と屈辱感
その言葉を聞いた瞬間、私の胸に強烈な嫌悪感が走りました。
「つまり、私じゃ足りないってこと?」
声を震わせて問いかけると、旦那さんは「いや、そういうことじゃない。ただ、子どもがいないなら、こういう生き方もあるんじゃないかと思って」と言い訳しました。
けれど、私には「もうお前じゃ満たされない」と突きつけられたようにしか聞こえませんでした。
知りたくなかった旦那の浮気を、オープンマリッジ提案という形で突きつけられた気がして――。
ショックと屈辱感。
「こんな提案されるくらいなら、いっそ普通に浮気されていた方がまだマシだった」
そう思うほど、私にとっては耐えがたい瞬間でした。
最初の拒絶と孤独

もちろん、私はオープンマリッジなんて提案受け入れられるはずもないので最初は拒絶しました。
はっきりとした拒絶
旦那から「オープンマリッジを考えてみないか」と提案された夜。
その理由が「子どもがいないから」という説明を聞いた瞬間、私の心に堪えていた感情が爆発しました。
「私は絶対に嫌。そんなの夫婦じゃない。子どもがいないからって、どうして他の人と関係を持たなきゃいけないの? 私は、女としても妻としても、あなたに見てもらいたいだけなのに……」
涙をこらえながら吐き出した言葉は、まさに私の本音そのものでした。
旦那は俯いたまま「そうか……」とつぶやくだけ。
その一言の軽さが、かえって私の心を突き刺しました。
子どもがいないからこそ募る思い
「もし子どもがいたら、私は“母親”としての役割を持てたのかもしれない」——そんな想像が一瞬頭をよぎった。
しかしすぐに現実が刺さる。
「でも、子どもがいない今の私には、“女として見てもらうこと”がすべてだった」
そのとき胸に広がったのは、言葉にできない深い虚しさと怒りだった。
そして、声にならない叫びがこみ上げる。
「子どもができなかったら、私は使い捨てなの? 母になれなかったからって、どうしてそんな仕打ちを受けなきゃいけないの?」
子どもを持てなかったことで失ったものの重み、そして「それでも私をそのまま受け入れてほしい」という切実な願い。
旦那の提案は、単なる生き方の提案以上に、私の存在そのものを否定されたように感じさせたのです。
誰にも言えない孤独
しかし、この悩みを誰かに相談することはできませんでした。
「旦那にオープンマリッジを提案された」なんて打ち明ければ、きっと誤解や好奇の目で見られるに違いない。
家族に話せば心配させるだけ。友人に話せば笑い話にされるかもしれない。
そう思うと、ますます口を閉ざすしかありませんでした。
深まる不安と自信の喪失
布団に入っても眠れず、天井を見つめながら涙が止まらない夜が続きました。
「私に女としての魅力がないから、旦那は他の人を求めるの?」
「私は妻としても、女としても不要なの?」
その疑念が心をむしばみ、私の自信を少しずつ奪っていきました。
外ではバリキャリとして毅然と振る舞う私も、家に戻れば孤独と不安に押し潰されそうになっていたのです。
オープンマリッジの話が出てから感情が不安定な日々

オープンマリッジの話が出てから、私は感情的に不安定な日々を送ることになりました。
感情の爆発
旦那からの提案を聞いた夜から、私は感情のコントロールがきかなくなりました。
「子どもができなかったからって、私はもう用済みなの?」
「母になれなかったからって、なんでこんな仕打ちを受けなきゃいけないの?」
頭の中でその言葉が何度もループし、涙が止まらなくなりました。
仕事に集中しようとしても、ふとした瞬間に感情があふれ出し、オフィスのトイレで声を殺して泣いた日もありました。
誰にも言えない孤独
友人に話せば「いい会社の旦那さんなんだからもったいないよ。」と言われる気がする。
家族に話せば余計に心配させてしまう。
そう思うと誰にも相談できず、孤独は私をさらに追い詰めていきました。
カウンセリングでの言葉
「このままじゃ壊れてしまう」――そう思い、私はオンラインでカウンセリングを申し込みました。
画面越しにカウンセラーに打ち明けると、涙が止まらなくなりました。
「旦那からオープンマリッジを提案されました。子どもができないからって、私がもう不要みたいに感じてしまって……」
しばらく黙って聞いていたカウンセラーは、静かに言いました。
「夫婦の形に正解はありません。大切なのは、あなたがどう感じるかです」
その言葉を聞いた瞬間、私はハッとしました。
「私の気持ちを優先していいんだ」――ほんの少しですが、心の重荷が下りた気がしました。
オンライン占いでの救い

それでも夜になると、また涙がこぼれる日々。
そんなある深夜、私は思い切ってオンライン占いに相談しました。
占い師は画面越しに優しく微笑み、私の話を聞いた後、ゆっくりこう言いました。
「あなたは十分に魅力的な女性です。子どもがいなくても、女としての価値が失われることはありません。無理に相手に合わせなくていいんですよ」
その言葉を聞いた瞬間、私の心の奥にあった感情が堰を切ったように溢れ、画面越しに声をあげて泣きました。
「やっと分かってもらえた」――そう思えたことで、孤独の闇に小さな光が差し込んだのです。

最終的な決断 ― 離婚という選択

カウンセリングや占いに気持ちを吐き出した私は少しづつ気持ちが落ち着いていき、結論を出すことにしました。
繰り返される話し合い
カウンセリングや占いで心を整理した私は、もう一度旦那と向き合いました。
「私はオープンマリッジなんて絶対に無理。あなたが他の人を求めるなんて想像するだけで苦しい。私は妻としても、女としても、あなたに見てほしいの」
真剣に伝えましたが、旦那は首を縦には振りませんでした。
「子どもがいないから、俺たち二人だけでずっとやっていくのは正直不安なんだ。お互いに自由でいられれば、もっと楽に生きられると思っただけなんだ」
二人の話し合いは、何度繰り返しても平行線。
旦那にとっては「新しい夫婦の形」でも、私にとっては「自分を否定される行為」にしか思えなかったのです。
決断を迫られる夜
ある夜、旦那が再び口にしました。
「考えてほしい。俺は、これが正しいと思ってる。今後の二人のためだと思ってるんだ。」
その瞬間、私の心の中で何かが音を立てて崩れました。
「この人は、自己正当化しながら私の気持ちより自分の考えを優先するんだ」
「だったら、私がどんなに泣いても、この人は私を“女として”見てはくれない」
涙で視界が滲みながら、私は悟りました。
――ここで終わりにするしかない。
34歳で独り身になる不安
もちろん、離婚は簡単な選択ではありませんでした。
当時私は34歳。
「この年で一人になって、私はやっていけるのだろうか」
「もう子どもを持つ未来はないかもしれない」
「周りからどう思われるだろう」
頭の中には不安が次々と浮かび、体が震える夜もありました。
それでも――心の奥で、もっと強い声が響いていました。
「私は“妻”である前に、一人の“女”であり、一人の人間なんだ」
「自分の気持ちを殺してまで、この結婚を続ける必要はない」
離婚の瞬間
離婚を切り出した日。
旦那は一瞬驚いた顔をしたものの、長い沈黙のあと、静かにうなずきました。
「……分かった。もう、無理なんだな」
言葉を交わすことも少なく、二人の結婚生活は幕を閉じました。
別れ際、私の胸にあったのは、悲しみよりも強い安堵感でした。
「やっと解放された」――そう思ったとき、自然と涙が流れました。
離婚後の心境
離婚から数か月。
私は今も完全に吹っ切れたわけではありません。
夜一人でいると、ふと「もし子どもがいたら違ったのかな」と思うこともあります。
けれど、かつてのような重苦しい絶望感はもうありません。
「私は私のままで生きていい」
その確信が、私を前に進ませています。
まとめ: 同じように悩む女性へのメッセージ
いかがでしたでしょうか。今回はオープンマリッジの話し合いをした夫婦のリアルな体験談を紹介していきました。Mさんは、オープンマリッジを受け入れるのではなく、自分の気持ちを大切にして離婚を選びました。
不安もありましたが、「自分を偽らない」という決断が、結果的に彼女を救ったのです。
夫婦の形に正解はありません。
けれど、あなたが「嫌だ」と思うなら、それは大切なサインです。
誰かの期待に合わせるのではなく、あなた自身の心の声を一番に尊重してください。
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