「結婚式を挙げたいのに、毒親のせいで挙げない方がいいのか悩んでいる」——そんな感情を抱えている女性は少なくありません。親の存在が、喜びのはずの舞台に影を落とすからです。
「また人前で否定されるのではないか」
「“いい親アピール”をされるのではないか」
その恐怖は純粋な幸せを奪い、式そのものを挙げるべきかどうかさえ迷わせます。そこで今回は、毒親を結婚式に呼ぶことへの不安や呼ばない選択の意味、そして自分の幸せを守るための視点について詳しく掘り下げていきます。
1. 毒親を結婚式に呼びたくない気持ちの正体

それでは毒親を結婚式に呼びたくない気持ちはどんな感情なのでしょうか。いくつか見ていきましょう。
私の幸せな時間を毒親に体験してほしくない
結婚式は、新郎新婦の人生で最も輝かしい時間のひとつです。ですが毒親を呼んでしまうと、その時間すら「親のもの」にされてしまう恐怖があります。
「私が苦しみを受けてきたのに、どうして幸せの瞬間をあなたに味わわせなければならないのか」
「あなたに“立派な親”を演じさせたくない」
そう感じるのは自然なことです。これはわがままでも反抗心でもなく、自己防衛の表れなのです。
喜びよりも恐怖が勝つ
「結婚式でまた支配や否定を再演されるかもしれない」という想像は、心の底から式を楽しむ余裕を奪います。純粋な笑顔で過ごす場のはずが、「再び試される場所」になってしまうのです。
「いい親アピール」を許したくない
毒親が式当日だけ取り繕い、「立派に育てた親」として人前に立つ。その姿を想像するだけで、娘の胸は締めつけられます。
「私がどれだけ苦しんできたかを知らないのに」
「あなたを“いい親”に見せる舞台なんて絶対に提供したくない」
この感情は、多くの人が共感できる強烈な本音です。
世間に知られたくない複雑な気持ち
一方で「毒親の本性を見られたくない」という思いも交錯します。取り繕えば「理想の親」と信じ込まれ、本性を出せば式は台無し。どちらに転んでも、自分が傷つく現実があります。
決別ではなく距離を取る選択
親を呼ばない選択は、必ずしも絶縁を意味するわけではありません。
「この大切な日だけは一緒にいたくない」
——これは自己防衛の線引きであり、心を守るための賢い決断でもあるのです。
2. 呼ぶことのリスク

毒親を呼んだ場合、次のようなリスクが考えられます。
- 式の場で否定される:「こんな演出、恥ずかしい」と批判される。
- 親族や相手の家族に失礼な態度を取る:相手に恥をかかせてしまう。
- 機嫌を損ねれば場を壊す:自分の思い通りにならないと露骨に不機嫌になる。
結婚式は一生に一度の舞台。そこに「また傷つく恐怖」が潜んでいるなら、呼ぶリスクを真剣に考える必要があります。
3. 毒親を結婚式に呼ばないという選択

毒親を結婚式に呼ばないという選択肢もあります。毒親を呼ばない場合を見ていきましょう。
世間体や親族の目が怖い
「親を呼ばないなんて聞いたことがない」「周りから何を言われるかわからない」——そんな不安は自然なことです。親族や親戚づきあいの多い地域や家庭ほど、こうした「世間体のプレッシャー」は強くのしかかります。
ですが、結婚式はあくまで二人のための節目。親や親族の顔を立てるためではなく、自分とパートナーがこれから共に歩む人生を祝うためにあります。世間にどう見られるかよりも、「自分の心が安心できるかどうか」を軸に考えてよいのです。
攻撃的な反応が怖い
呼ばなかったことに対して、毒親は怒りをあらわにするかもしれません。電話やメッセージで責め立てられる、泣き落としで罪悪感を植え付けられる——そんな反応は容易に想像できます。
しかし、その怒りの本質は「あなたの幸せを願う」からではなく、「自分の支配が効かなくなることへの恐怖」や「世間体を守りたい気持ち」から来ている場合が多いのです。
そのとき、「これは私を傷つけるための言葉ではなく、親自身の問題だ」と境界線を引くことが、心を守る第一歩になります。
自分の人生を選び取る
結婚式を親のためにやるのではなく、自分とパートナーのためにやる。この視点を持てたとき、ようやく「本当の意味での結婚式」が形になります。
毒親を呼ばないことで初めて、無理に笑顔を作らず、心から笑える時間が訪れるのです。呼ばない選択は「親を切り捨てること」ではなく、「自分の人生の主導権を自分に戻すこと」なのです。
4. 毒親を考えて結婚式を挙げないという選択肢もある

一方で毒親のことを考えて、結婚式自体を挙げないという選択肢も考えられます。詳しく見ていきましょう。
式を考えるだけで苦しくなるとき
「親を呼ぶのも嫌だし、呼ばないことで責められるのもつらい」——その板挟みで、結婚式自体に気持ちが向かなくなる女性も少なくありません。式のことを考えるたびに動悸がしたり、憂うつになったりするなら、それは心が「これ以上は耐えられない」と訴えているサインです。
フォトウェディングという形
写真だけを残すフォトウェディングなら、毒親の存在に左右されることなく、二人の思い出を形にできます。ドレスや和装を着て、純粋に「自分たちだけの記録」として残すことは、のちに振り返ったとき大きな支えになります。
小規模な式や身内だけの会食
信頼できる友人や、理解してくれる家族だけを招いた小さな式にする選択もあります。形式にとらわれず、自分たちが安心できる環境で「お祝いの時間」を持つことは、何よりも心を守ります。
式をしないという選択
完全に式をせず、入籍だけにする夫婦も増えています。「結婚式をしなかったら後悔するのでは?」と不安に思う人もいますが、幸せの形は人それぞれです。大切なのは式の有無ではなく、夫婦が互いを選び、支え合う関係を築けるかどうかです。
大事なのは「後悔しない自分の選択」
式を挙げるか、挙げないか。その決断には正解も不正解もありません。唯一大切なのは、「自分が本当に納得できる選択かどうか」。毒親の存在に左右されるのではなく、自分の心が求める形を選ぶことこそが、あなたの幸せにつながります。
5. 呼ばないと決めたときの説明の仕方

仮に結婚式はやるけど毒親は呼ばないという方向性になった時、説明は慎重に行う必要があります。いくつか見ていきましょう。
親族や周囲の反応が怖い
毒親を呼ばないと決めても、「親はどうして来ないの?」と周囲から必ず聞かれるものです。その質問にどう答えるかを事前に考えておかないと、当日心が揺れてしまいます。特に結婚式という場は、多くの人の目が集まりやすく、言い訳や説明を求められる場面も想定されます。
詳しく説明する必要はない
ここで大事なのは、真実を細かく説明する必要はないということです。「親が毒親で苦しめられてきた」とすべてを話すのは、あなたの心をすり減らしてしまうだけです。
シンプルに、たとえば次のように言葉を選べば十分です。
- 「親の体調の都合で参加できません」
- 「家庭の事情で来られなくなりました」
- 「今回は二人だけで決めた形です」
このように「角を立てずに済む言い方」を準備しておくことで、自分を守りつつ場の雰囲気を壊さないことができます。
味方を作っておく
もし可能であれば、彼氏や彼氏の両親、理解ある親族にあらかじめ事情を軽く伝えておくと安心です。
「実は、うちの親は人前だと問題を起こすかもしれないから呼ばないことにしました」
このようにシンプルかつ誠実に伝えておくと、当日の不安が減り、守ってくれる人が増えます。自分ひとりで背負わないことが、精神的な支えになります。
自分の人生の選択を肯定する
最終的に大切なのは、**「これは私の人生だから、私が選んでいい」**という感覚を持つことです。周囲の目よりも、自分の幸せを最優先にする勇気が必要です。結婚式は、他人の評価を気にする場ではなく、あなたがパートナーと新しい人生をスタートするための儀式。そこに毒親を呼ばないという選択は、決してわがままではなく「自分を守るための正当な選択」なのです。
結婚式をやらないことになった時の心構え

仮に毒親のことを考えて最終的に結婚式自体をやらないという決断をすることもあるかと思います。当然最初は落ち込むでしょう。ここではそうなった場合の気持ちの持ちようについても最後に紹介してきます。
1. 結婚の価値は式の有無では決まらない
「結婚式をしなかったら不完全?」と不安になる人は多いです。ですが、結婚は式がゴールではなく、二人がこれから築く生活そのものです。入籍をし、日々を共にすること自体が結婚の本質です。式をしなかったからといって、愛や絆の価値は一切損なわれません。
2. 他人の声より自分の気持ちを優先する
「式をしないなんてもったいない」「親族に説明できないのでは」など、周囲の声は必ず出てきます。でも大切なのは、あなたとパートナーが納得しているかどうか。結婚式をしない選択は、周囲ではなく自分たちの幸せのために決めたこと。その軸を忘れなければ大丈夫です。
3. 代わりの「節目」を持つ
式をしない分、「二人のけじめ」をどう残すかを考えるのもおすすめです。
- フォトウェディングで記録を残す
- 二人だけ、または親しい人たちと小さなお祝いをする
- 旅行や記念ディナーを「結婚の節目」にする
こうした形があるだけで、「私たちの特別な時間を大切にした」という実感が持てます。
4. 自分を責めない
「普通はやるのに」「やらないのは失敗?」と自分を責める必要はありません。毒親や環境の事情、経済的な事情など、それぞれに理由があります。むしろ、自分の心を守るために決断できたことは強さの証です。
まとめ —— 自分の幸せを守る選択を
いかがでしたでしょうか。結婚式は本来、人生で最も幸せを感じる瞬間であり、誰よりも自分が安心して笑える場であるべきです。ですが、毒親の存在があることで「呼ぶべきか」「呼ばないべきか」といった葛藤に苦しむ人は少なくありません。
今回は
- 呼びたくない気持ちの正体(「いい親アピール」をさせたくない、当日の雰囲気を壊されたくない、そもそも幸せな時間を共有したくないなど)
- 呼ぶことのリスク(人前での否定、親族への失礼な態度、場を壊す可能性)
- 呼ばないという選択(世間体や親の反応よりも、自分の幸せを優先すること)
- 式自体を挙げないという選択肢(フォトウェディングや小規模の式、入籍のみなど自由な形)
- 周囲への説明の仕方(細かく説明する必要はなく、味方を作り、角の立たない言葉で切り抜ける)
といった観点から掘り下げてきました。
最終的に大切なのは、**「親にどう思われるか」ではなく「自分がどう生きたいか」**です。親を呼ぶかどうかに正解はありません。ですが、あなたの幸せを守るために「呼ばない」という決断をすることも立派な選択です。そして、呼ばなくても結婚は成立しますし、絆の強さは揺るぎません。
毒親に支配されてきた時間が長いほど、自由に選ぶことは怖く感じられるでしょう。しかし、本当の意味での復讐は「あなたが幸せに生きること」なのです。結婚式はその象徴でもあります。どうか、自分とパートナーの未来のために、心から笑える選択をしてください。
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