結婚生活が落ち着いてくると、表面的には「幸せそうな夫婦」に見えても、心の奥底では誰にも言えない悩みを抱えている人も少なくありません。
とりわけ「夫とは仲が良いのに、女性として求められない」という問題は、多くの既婚女性が一人で苦しんでいるテーマです。
今回ご紹介するのは、30代既婚女性・Aさんの実体験です。
日系大手企業に勤める旦那さんと24歳で結婚。誰から見ても安定した夫婦生活を送っていたAさんですが、結婚からわずか1年半でレスに。妻として大切にされながらも「女性として求められない」という現実に直面し、自信を失いかけました。
そこで今回は誰にも相談できずにいたAさんが、夫と真剣に向き合い、そして「オープンマリッジ」という新しい夫婦のかたちにたどり着くまでの道のりを、今回はお届けします。
出会いと結婚 ― 安心感を選んだ24歳の私

私が旦那さんと出会ったのは、友人からの紹介でした。
旦那は当時27歳、大手日系メーカーに勤める真面目で誠実な男性。派手さはなく、いわゆる「イケメン」ではありませんでしたが、落ち着いた雰囲気に安心感を覚えました。
当時、24歳の私は、結婚願望が強く、周囲の友人たちが次々と結婚していく中で「自分も安定した家庭を持ちたい」と考えていました。
「恋愛のドキドキはなかったけれど、この人となら安心できる未来を作れる」
そう思い、結婚を決意。穏やかな結婚生活が始まりました。
早すぎたレスと心の揺らぎ
けれども、その刺激的な日々は長くは続きませんでした。結婚からわずか1年半で、私たちはレスに。
日中の生活は穏やかで、会話も旅行も食事も楽しく、ストレスのない夫婦関係でした。
しかし、夜だけは一切満たされない。ベッドは眠るだけの場所になり、私の心には虚しさが募っていきました。
「私から求めても、旦那は応えてくれなかった。疲れているから、気分じゃないから……。断られるたびに“女として拒絶されている”ようで、心が小さくしぼんでいく気がしました」
妻としては大切にされているのに、女性としては求められない――そのギャップが私を苦しめました。
「もしかして、私にはもう魅力がないのでは?」
そんな疑念が自信を奪っていったのです。
職場での小さな揺らぎ ― 女としての存在証明

穏やかな日常を送りながらも、私の心には「女性として求められたい」という渇望が残っていました。
職場では既婚男性から誘われることも少なくありませんでした。
「今度飲みに行かない?」
「旦那さんに悪いけど、Aさんって本当に魅力的だよね」
私はもちろんすべて断ってきました。けれど、飲み会で少し距離が近づいたとき、不意に腕や肩が触れた瞬間――思わず胸が高鳴ったのです。
「いけないことだとは分かっているのに、女として見られることが嬉しかった。ドキッとしてしまった自分に気づいて、逆に怖くなったこともありました」
“妻”や“社員”としての顔とは別に、“女としての私”を確かめたい気持ちは、日に日に強まっていきました。
夫婦でオープンマリッジについて話し合った夜

そして私は我慢できなくなり、ついにオープンマリッジについて聞いてみました。
告白の夜
ある晩、リビングの灯りを落とした静かな部屋で、私は胸の奥にしまい込んできた言葉をついに口にしました。
喉が詰まり、声が震えるのを自分でも抑えられませんでした。
「私、妻や嫁としてだけじゃなくて、もっと“女”として見られたいの。そうじゃないと、自分が空っぽになってしまいそうで……」
言葉を吐き出した瞬間、心臓が破裂しそうなほど脈打っていました。
拒絶されるかもしれない、離婚を切り出されるかもしれない――その恐怖で手が冷たく汗ばんでいたのです。
旦那は最初、驚いたように目を見開きました。しかしすぐに視線をそらし、テーブルの一点をじっと見つめたまま無言に。
時計の秒針の音だけが響き、息苦しい沈黙が続きました。
旦那は最初拒絶してきた
長い沈黙の後、旦那は深くため息をつき、押し殺したような声で言いました。
「……そんなこと、僕には受け入れられない」
その声には怒りではなく、戸惑いと悲しみが入り混じっていました。
顔を伏せたまま、旦那さんは絞り出すように続けました。
「僕じゃ釣り合わないってことは? まるで僕じゃダメだって、そう言われてるみたいで……正直、つらい」
その言葉を聞いた瞬間、私の胸に鋭い痛みが走りました。
「違うの、そんなつもりじゃないのに……」と必死に訴えようとしましたが、涙で声が震えてしまいます。
旦那のこわばった表情と、固く閉ざされた態度。
それは、私が思い切って放った言葉が、夫のプライドを深く傷つけてしまった証でした。
二人の間に流れる空気は重く、冷え切った沈黙がその夜を支配していました。
すれ違いの日々
その夜を境に、二人の間には冷たい空気が流れ始めました。
食卓では、以前のような他愛ない会話は消えました。
私が「今日ね、会社でこんなことがあって」と話しかけても、旦那さんは「ふーん」「そうなんだ」と短く返すだけ。
食器の音ばかりが響き、沈黙が続く時間に胸が押し潰されそうになりました。
休日も同じでした。
一緒に買い物に行っても、旦那さんはスマホを眺めるばかりで、以前のように笑顔で話しかけてくることはありません。
夜になると「仕事が残ってる」と言って書斎にこもり、ベッドに入るのも遅くなりました。
まるで、Aさんと距離を取ろうとしているかのようでした。
私は一人きりのリビングで泣く夜が増えました。
「どうしてあんなこと言っちゃったんだろう」
「私はただ、女として求められたいって伝えたかっただけなのに……」
けれども同時に、心の奥で別の声が響いていました。
「でも、このままじゃ私が壊れてしまう。黙っていたら何も変わらない」
誰にも言えない悩みをオンライン占いへ

このとき、Aさんは誰にも相談できない苦しさを抱えていました。
友人に話せば「贅沢な悩み」と言われるかもしれない。家族に打ち明けることなど到底できない。
そんなときに頼ったのが、匿名で相談できるオンライン占いでした。
画面越しに「夫に女として見てもらえない苦しみ」を初めて口にしたとき、占い師から返ってきたのは優しい言葉でした。
「あなたはまだ十分に女性として魅力的です。そういった感情を抱いている自分を責める必要はありません」
その言葉を聞いた瞬間、私の目から涙があふれました。
「誰にも分かってもらえない」と思っていた気持ちを肯定されたことが、どれほど救いになったか。
孤独に押しつぶされそうな日々の中で、ほんの少し心が軽くなった瞬間でした。

理解への歩み寄り
占いで少し心が軽くなったとはいえ、私たちの冷戦状態は続きました。
旦那は相変わらず無口で、目を合わせようともしません。
けれど夜中、書斎のドアの隙間から漏れる明かりを見ながら、私は気づいていました。
彼も眠れずに悩んでいるのだと。
旦那の胸中には、複雑な思いが渦巻いていたようです。
「僕じゃ釣り合わないってことなのか……」
「まるで僕じゃダメだって、そう言われているみたいだ」
私の告白を思い出すたびに、夫としての自尊心は大きく傷ついていました。
しかし同時に、頭から離れない恐怖がありました。
「もしAが、このまま苦しみ続けたら……。いずれ僕のもとを離れてしまうのではないか」
旦那は私が社交的で、職場でもモテることを知っていました。
「僕が縛りつけたら、むしろAを失ってしまう」
そう思うと、拒絶を貫くことが怖くなっていったのです。
そして3週間ほど経ったある晩、ついに旦那さんは口を開きました。
「……僕、Aがそんなに苦しんでいたなんて全然わかってなかった。僕にできることは限られてる。でも……Aが幸せでいられるなら、僕は応援するよ」
その声にはまだ迷いが残っていました。けれど、その一言に私の目から涙が溢れました。
拒絶から理解へ――旦那さんが時間をかけて心を動かしてくれたことが、何よりの救いだったのです。
私もまた心の奥で確信していました。
「私はモテる。旦那はそうじゃない。だからこそ、私を手放したくないはず。だから最後には呑んでくれる」
結果として、その読みは正しかったのです。
二人は夜遅くまで語り合い、次のルールを決めました。
- 隠し事をしない
- 家庭を壊さない
- 不安や嫉妬は正直に話す
こうして、夫婦は穏やかな関係を保ちながら、新しい形を模索する土台を築いたのでした。
既婚者専用アプリとの出会い
ここからは私がオープンマリッジとして新しいパートナーと出会うまでを描いていきます。
初めての登録と戸惑い
旦那との話し合いを経て、私は「既婚者専用アプリ」に登録しました。
最初は指先が震えました。「本当にこんなことをしていいのだろうか」と罪悪感もありました。
けれど、そこには自分と同じように「家庭を壊すためではなく、自分らしくいたい」と願う人たちがいて、安心感を覚えました。
久しぶりのやり取りに心が躍る
やがて、一人の男性とやり取りが始まりました。
「旦那さんに内緒で大変じゃない?」
「Aさんって写真よりずっと素敵そうですね」
そんな何気ないメッセージにも、私の心は正直大きく揺さぶられました。久しぶりのときめきの感覚。
「ただの妻でも社員でもない、“ひとりの女”として扱われている」――その事実が、胸の奥を熱くしました。
待ち合わせの高鳴り
数日後、実際に会う約束をしたとき、私の鼓動は止まらないほどに早まりました。旦那には申し訳ないけど。
「旦那以外の男性と二人きりで会うなんて、いつ以来だろう……」
待ち合わせ場所に向かう足取りは軽く、それでいて震えるような緊張に包まれていました。
彼と目が合った瞬間、頬が熱くなり、思わず笑みがこぼれました。
「今日は会えて嬉しい」――その一言に、胸がドキリと鳴りました。
デートで蘇る“女”の感覚
食事の席で彼が椅子を引いてくれたこと、グラスをさりげなく満たしてくれたこと。
その一つ一つが新鮮で、私は「女として扱われる喜び」を思い出しました。
飲み会で体が触れたときにドキッとした自分。あの感覚が今は堂々と目の前にある。
「私、まだ女として求められるんだ」
その事実が体温を上げ、心を浮き立たせました。
久しぶりの体験
食事の後、自然な流れで手をつなぎ、夜の街を歩きました。
彼の手の温もりに触れた瞬間、私の中で抑えていたものが一気にほどけていくのを感じました。
「このまま彼に委ねたい」――そんな思いがごく自然に湧いてきたのです。
ホテルのドアをくぐったとき、もう後戻りはできませんでした。
久しぶりに“女”として抱きしめられた感覚。
「優しくて、同時に強く求められる……その瞬間、妻ではなく“女”の自分が完全に蘇った気がしました」
罪悪感と背徳感を伴いながらも、私は家庭では得られなかった「求められる喜び」を思い出しました。
その夜を境に、彼女の表情は明るさを取り戻していったのです。
彼との関係がもたらした変化
最後にオープンマリッジを経て、私たち夫婦にどんな変化があったのか話していきます。
私は女性としての自信を取り戻した
彼との関係を通じて、私は長い間忘れていた感覚を取り戻しました。
「まだ私は女性として魅力がある」――そう実感できるようになったのです。
髪を整える時間が楽しくなり、メイクも自然と丁寧になりました。
鏡に映る自分の顔には、結婚後には消えていた“ときめき”の表情が戻っていました。
「女として求められることが、こんなにも心を満たしてくれるなんて」
そう思うと、自分に自信が湧いてきました。
夫への感謝が深まった
意外なことに、外でのときめきが私を夫から遠ざけるのではなく、逆に感謝の気持ちを深める結果につながりました。
「私を妻として守ってくれるのは旦那。私を女として求めてくれるのは彼」
二つの役割があるからこそ、どちらにも心から向き合える。
旦那の穏やかさや誠実さが、改めて“安心の基盤”として大切に思えるようになったのです。
外でときめきを得ることで、家庭のありがたさを再認識できる――そんな不思議な循環が生まれました。
会話が増えた夫婦関係
ルールを守り、隠し事をしないことを徹底した結果、夫婦の会話は以前よりも増えていきました。
「今日はどうだった?」
「ちょっと不安になったけど、大丈夫だったよ」
嫉妬や不安を隠さずに伝えることで、かえって二人の絆は深まっていきました。
以前は話し合うことを避けがちだった夫婦が、今は本音をぶつけ合えるようになったのです。
「外で女としての自分を満たしても、最後に帰る場所は旦那との家庭」
私はそう強く実感するようになりました。
同じように悩む女性へ伝えたいこと
Aさんは今も、夫との穏やかな家庭を守りながら、オープンマリッジという形を続けています。
そんな彼女が伝えたいのは――「悩んでいるのは自分だけじゃない」ということです。
- 本音を言えずに我慢し続けると、心が壊れてしまう
- 夫婦のかたちは一つではなく、二人にとって心地よい形を見つければいい
- 誰にも言えないときは、占いや第三者に打ち明けることで救われる瞬間もある
「夫婦関係は“こうでなければならない”という決まりはありません。大事なのは、二人でどう生きていきたいか。
私の場合はオープンマリッジという形だったけれど、それが唯一の答えじゃない。
でも、本音を隠さずに伝える勇気を持つことだけは、誰にとっても必要だと思います」
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回はオープンマリッジというあまり日本では主流ではない関係について体験談を紹介していきました。
オープンマリッジのきっかけとなったレスは、多くの夫婦が直面する問題のひとつです。
けれど、妻として大切にされながらも「女性として求められない」という現実は、心に深い影を落とします。
Aさんは夫と真剣に話し合い、すれ違いと涙を経て、最終的に「オープンマリッジ」という答えを見つけました。
そこには葛藤もありましたが――
- 女性としての自信を取り戻し
- 夫への感謝も深まり
- 夫婦としての会話が増えた
というポジティブな変化もありました。
オープンマリッジは万人向けではありません。
けれど、「妻としても、女としても自分らしく生きたい」と願う女性にとって、一つの救いとなる可能性があります。
大切なのは、「私たち夫婦にとって、どんな形が幸せなのか」を見つけること。
「夫婦のかたちは人の数だけあっていい」――Aさんの実体験は、そのことを教えてくれます。
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